緑成会の講習のテストは、講習で習ったところまで全範囲のテストとなっている。
1章習った週のテストは1章。
2章習った週のテストは1章と2章。
3章習った週のテストは1章~3章全部。
こうやって範囲が増えていく。
12月に理科35点で不合格になったある生徒が言った。
『無理ゲーだ』と。
僕は少しカチンときたが、12月以降の受験生には強く怒ることはしないと決めているので
『これが無理ゲーなら受験も無理ゲーだな。なんとなく言ってしまっただけならいいけど、本気でそう思っているのなら受験は無理だから。受験あきらめるか、無理ゲーでもクリアするか。どちらにするかは自由だ。』
そんな感じの事を言った。
さすがは緑成会の生徒なので、そこでふてくされることはなかった。
あるとき自習をのぞいてみた。
いままで自習と言っても教材を開いて眺めているだけだったのが、シャーペンを動かして何か書いている。
あるとき自習をのぞいてみた。
今までは前回習ったページだけ開いていたけど、今までやったページを開いていた。
あるとき自習をのぞいてみた。
塾の理科の教材以外に、学校の教科書を持ってきていて、なにやらいろいろ調べながら進めているようだった。
あるとき自習をのぞいてみた。
教材に、出来た問題と出来なかった問題、これから繰り返してやらないといけない問題などが一目でわかるように書き込まれていた。
あるとき彼は質問を持ってきた。
当然ではあるが、35点だったテストも、46点、49点、57点、62点と回を追うごとに上がっていた。
残念ながらすべて再テストにはなったが。。。
この前の土曜日、理科のテスト結果を発表する時、ちらっと彼を見た。
彼は目をぎゅっと閉じて、両手を目の前にあわせ、本気で何かを願っていた。
上位から、点数と合否が告げられていく。
そして
84点、合格!
彼の名前が呼ばれた。
また彼をちらっとみた。
物凄く小さく、でも全身全霊でガッツポーズをしていた。
彼の目に光るものが見えた気がした。
僕は「泣くなよ。」って思った。
彼がもし泣いたら、僕も絶対泣くから。
彼の中にはもう『無理ゲー』という言葉は無い。
初めての受験とは今までの人生の中で経験をしたことのないプレッシャーの中で行われる本当に過酷で、本当に厳しくて、それでも避けられない・・・そんな中で日々を過ごすということだ。
でも経験したことないほどのプレッシャーと過酷さが、経験したことのないほどの成長を与えてくれるのもまた間違いない。
今も目の前に大きく成長した受験生たちが沢山いて、勉強している。
本当に立派になった。
公立受験まであと21日。
この生徒たち、全員で受かる。